誇大広告や煽りマーケティングは時代遅れ?個人事業のための集客戦略

本記事は「個人事業の処方箋」シリーズです。

こんにちは!LincWebの水野です。

「たった2か月で300万円を稼いだ方法」「このツールを導入すれば高額商品が売れるようになります」
このような売り文句を目にしたことはありませんか?
実はこうしたコピーは一時的には人を惹きつけるものの、中長期的な集客戦略としては大きなリスクを抱えています。

こういった「煽りマーケティング」とも言えるコピーは、一昔前なら「すごい!」と心を動かされた人もいたかもしれません。でも、最近ではこういった過剰とも言える宣伝文句がはびこっており、「本当に?」「またこのパターンか」と冷めた目で見る人が増えてきています。こうした実態よりも有利に見せかける宣伝手法「誇大広告」と呼ばれており、今まさにユーザーからの信頼を失いつつあります。

私自身、会社員から個人事業の世界に飛び込んだときに、この「誇大広告」に強い違和感を抱きました。法律を遵守するまともな企業なら避けるような誇大広告的な手法が、個人事業の世界では平然と使われ、しかも当たり前のように受け入れられていたのです。どうしてこれが堂々とまかり通っているのか。そう感じたのは私だけではないはずです。

実際、多くの人が心のどこかで「これっておかしくない?」と感じているはずです。そして、その違和感は感覚的なものではなく、研究や調査レポート、さらには海外のトレンドからも読み取ることができます。

本記事では、こうした「誇大広告」にまつわる違和感を整理し、典型的なパターンとその背景、さらに海外も含めた最新のトレンドをご紹介します。そして最後に、これからの時代に必要とされる、信頼を軸にした集客戦略(=信頼ベースのマーケティング、いわゆるエシカルマーケティング)について、一緒に考えていきましょう。

目次

誇大広告がもたらす弊害と4つの典型パターン

誇大広告、あるいは煽りマーケティングと呼ばれる手法は、一時的に人の目を引き、売上を伸ばすことがあります。
しかし、そこにはユーザーと事業者の双方にとって大きな弊害が潜んでいます。

ユーザーにとっては「期待して買ったのに実態と違った」という失望感が残り、やがて「どの売り文句も信用できない」という広告不信へとつながります。こうした経験を重ねるうちに、本当に必要となる商品やサービスにまで手を出しにくくなる人も出てきます。

一方で、事業者サイドにも大きなリスクがあります。
短期的に売上が伸びても、一度信頼を失えばリピートや紹介が生まれなくなり、売上を上げ続けることが難しくなります。これは特に個人事業主にとっては重大で、一度失った信用を取り戻すには長い時間と労力が必要になります。企業であれば人事やブランドを刷新して再出発もできますが、個人事業主は自分自身がビジネスオーナーで置き換えがきかないため、信用の失墜は深刻なリスクであると言えるでしょう。

また、誇大広告はプラットフォームの規制対象にもなりやすく、Stripeなどの決済代行やLINEなどのコミュニケーション基盤からアカウント停止(BAN)を受ければ、ビジネス運営にも影響が出るリスクがあります。

さらに、場合によっては法的な問題に発展することもあります。大企業の例では、TSUTAYAは「動画見放題」と宣伝しながら対象が限定的だったために、1億円以上の課徴金を科されました。ジャパネットたかたも、販売実績のない「通常価格」を使った値引き表示で5,000万円以上の課徴金納付の処分を受けています。(※出典参照)
私の知人でも「紹介するサービスの良い面だけを伝え、悪い点やリスクを一切説明しなかった」ことで顧客からクレームとなり、最終的に法的トラブルに発展したケースもありました。

※弁護士法人 咲くやこの花法律事務所『景品表示法違反の3つのペナルティとは?事例をもとに解説

このように、誇大広告は「嫌われる」だけでは済まず、事業そのものを揺るがす深刻なリスクを伴うことを心に留めておくとよいでしょう。

では実際に、どんな表現が「誇大広告」と呼ばれるのでしょうか。
次に、その典型的なパターンを4つに整理して見ていきます。

① 希少性・緊急性をあおるコピー

「先着10名様限定!」「あと3時間で終了!」
よくあるフレーズですよね。人は「今買わなければ損をする」という心理に弱く、希少性や期限を強調されると冷静な判断がしづらくなると言われており、それを利用したマーケティング手法です。

もちろん、本当に人数や期間が限られている場合には合理的な表現です。セミナー会場が定員50名なら「先着50名」と書くのは自然なことですし、期間限定の割引キャンペーンも正しく運用されれば有効な販売手法になり得ます。

しかし、必要以上に「限定感」を演出することには、中長期的に見ると自らの信頼性を落としかねないという大きなリスクがあります。典型的なのが、次のようなパターンです。

【本日中に申し込めば〇割引き】
極端に時間を制約し、冷静に考える余裕を奪うやり方です。これは合理的な期間限定キャンペーンではなく、「申し込まなければ損をする」という心理につけこんだ販売手法と言えるでしょう。十分に情報を集めたり質問できないまま意思決定することになり、後になって「こんなはずじゃなかった」となるケースが多いパターンです。特に、十分な検討が必要になる高額商品の場合には悪質と言えるでしょう。

恥ずかしながら、私も昔この手口に引っかかったことがあります。具体的な商品ジャンルは伏せますが、その日中にサインすれば大幅割引できるとのことで購入を決めたのですが、後になって私の状況ではあまり効果を見込めない商品であることがわかり、後悔したことがあります。それ以降は、その業者はもちろんのこと、十分に考える時間を与えずに成約を求めるような業者は、すべてお断りするようにしています。ユーザーの信頼を失うということは、まさにこういうことなんだな、と感じた瞬間でした。

こういった手法は、最初は効果的で売上が上がるかもしれません。しかし、同じ事業者が何度も「残り◯名」や「本日まで!」を繰り返すと、「またこれか」「どうせ限定といっても信じられない」となり、中長期的には信頼を失うことになります。これでは、継続性のあるビジネスは構築できませんよね。

② 成果を誇張するコピー

「わずか5日で10歳若返る」「このツールを導入すれば高額商品がどんどん売れます」
こうしたコピーもよく目にしますよね。

もちろん、通常の宣伝活動の範囲で、効果を少し大げさに表現することはありますし、見る側もある程度はそれをわかっています。しかし、その限度を超えた誇張が行われた場合には問題が発生します。
例えば、以下のようなコピーです。

【2か月で月300万稼げるようになった方法】
自分が過去に成功した手法を教える講座やコンサルなどでよく使われるコピーです。確かに提供者はその手法で成功したのかもしれません。しかし、多くの場合、成功要因はその手法ではなく、その人が持っている別のスキルや能力によるところが大きく、再現性があるとは言えません。これは射幸心を巧みに利用したマーケティングであり、誇張された成果を誤認させる典型例です。

このコピーの問題は、再現性がないにも関わらず、あるように感じてしまうところです。このように、再現性があると直接的に言っていなくても、見た人がそう誤認してしまうように書かれている例はよくあります。

また、人は成功事例に強く引き寄せられる傾向があります。「この人がこのやり方で成功したなら自分も」と思ってしまうのです。しかし、背景となる条件、例えばその人のスキルや特性が違えば、同じやり方をしたからといって、同じ結果になるとは限らないのです。

誇張された成果コピーに惹かれて購入したものの、現実とのギャップが大きいとユーザーは不満を抱きます。「思ったほど効果がなかった」「結局、特定の人にしかできない話だった」という感情は、事業者への強い不信感につながります。

さらに、こうした誇張された成果を謳うことには、法的リスクも伴います。景品表示法において「優良誤認表示」として違反となる可能性があるのです。 広告内容に十分な裏付けがない場合には、消費者庁に「優良誤認表示」とみなされるケースもあり、実際に処分されている事例も多数あります。(※出典参照)

※消費者庁が公開している『違反事例集』でも、裏付けのない誇大広告が優良誤認表示とされています。
消費者庁 表示対策課『景品表示法における違反事例集

成果を誇張することは、短期的には訴求力が強く売上を伸ばせるかもしれません。しかし、長期的には「思っていたのと違う」と感じられ、結局はビジネスにとって一番大切な「信頼」を失うことにつながってしまうのです。

③ 虚偽・誤認を招くコピー

ここまでは、大げさすぎる、あるいは一部の人の実績を一般化してしまう、といった誇張を行うパターンだったので、まだグレーに感じる方もいるかもしれません。
ただここからは、正直グレーというよりは、ほとんど黒ではないかという手法です。

まず、実態とは異なる虚偽や誤認を招くようなコピーです。これは意図的であるかどうかに関わらず、見た人に実態とは異なる情報を表示しているという意味で、詐欺的とも言える手法かもしれません。以下の例を見てください。

「通常価格10万円のところが今だけ5万円!」
本当に今だけ5万円なら問題無いのですが、実際に10万円で売った実績がないケースは虚偽表示になります。これは景品表示法上もアウトで違法行為なのですが、個人事業主の中にはそれを知ってか知らずか、こういった手法を使う人が後をたちません。

ライブと思わせておいて録画済みの動画を配信
いわゆるエバーグリーンウェビナーと呼ばれる仕組みですが、「次回は19時から開始」と表示していたり、チャット欄にフェイクの書き込みをして「今◯◯さんが質問しました」と見せるような、「リアルタイム感」を誤認させている時点で、ユーザーを欺いていると言えるでしょう。

このコピーの問題は、「期待していたほどの成果がなかった」ではなく、言っていることがそもそも事実と違うという点にあります。これを演出の一部だ、と主張される方もいるかもしれませんが、見る側の多くの人がそれを理解しておらず誤認していれば、社会的には虚偽表示とみなされるのです。

実際に、景品表示法に基づいて「根拠のない通常価格を用いた二重価格表示」や「誤認させる広告」は違反事例として処分されています。冒頭で示したジャパネットたかたをはじめ、実態調査の根拠が無い「業界No.1」表示や、健康食品の「医師推薦」が架空の肩書だった、といった事例もあり、処分されるケースが後をたちません。

このような手法は、短期的には「お得感」や「臨場感」で人を動かせるかもしれません。しかし実態が明らかになれば、「この人、このサービスは信用できない」と消費者は離れていきます。特に個人事業主にとって信用の失墜は致命的です。そして近年は、こうした誤認表示に対して消費者の目も確実に厳しくなっています。もはや「バレなければ大丈夫」では済まない時代になっている、ということを意識しておきましょう。

④ 疑似科学に頼るコピー

最後に、さらに巧妙なケースとして、科学的に立証されていないにもかかわらず、あたかも科学的根拠があるかのように見せかけて信用させる手法を紹介します。

誤解してほしくないのは、科学的ではない領域、例えばスピリチュアルなどを否定しているわけではない、という点です。例えば占いは、利用者も「科学的根拠はない」と理解したうえで利用しているため、問題の無いサービスとして成立していると言えるでしょう。
問題なのは、あたかも科学的根拠があるかのように誤認させることで、信頼感をもたせようとする手法です。

以下に例をあげてみます。

特許技術を採用」
特許と聞くと、先進的な技術で科学的に効果も立証されているんだ、と思ってしまいますよね。私も技術者として登録特許を何件も持っていますが、まず特許は形式的にはお金を払えば誰でも出願できるため、「特許出願中」には実質的な意味はありません。また、出願した特許が審査を通って登録されるには新規性や進歩性などが必要になるものの、消費者が期待するような効果が立証されているかどうかは関係ありません。もし本当にその独自技術をアピールしたいのであれば、特許番号を示したうえで、そこから得られる客観的な効果(例えば、従来技術より30%軽量化)を示すのがよいでしょう。

波動を高めてくれる機械
スピリチュアル界隈では、単に精神世界の話だけに留まらず、実在する機械で波動を調整する/高めることを謳ったものもあります。もちろん買う側も、自己満足や判断の後押しのためと割り切っていればよいのですが、問題はここに量子力学や電磁波などの一見科学的に見える言葉を使ってその効果を説明しているケースです。仮に小さく「科学的には立証されていません」と注記されていても、総合的に見れば誤認を狙っていると言えます。

これらの謳い文句はもっともらしく聞こえるかもしれませんが、「科学的に証明されている」と誤認させる典型的な手法として、誇大広告の中でも悪質性が高いと言えるでしょう。

実際の例としても、断熱フィルムで「特許技術を採用」とアピールしていた商品に対して、景品表示法上の措置命令が出されたこともあります。特許取得が事実でも、実際の断熱効果が表示どおり裏付けられていなければ、「合理的な根拠」とは認められないという判断です。これは「特許がある=効果が証明されている」と誤解を与える表示が、法的にも問題とされる典型的な例であり、消費者にとっても有用な線引きと言えるでしょう。(※出典参照)

※株式会社Fides『特許取得技術でもNG?翠光トップライン断熱フィルムに景表法措置命令

こうしたコピーに惹かれて購入したものの、もし効果がなければ「専門的に裏付けがあるはずなのに効かない…」とがっかりしますよね。その裏切られ感は「また大げさな広告か」というレベルを超えて、「騙された」という不信感につながるのです。そして、今はSNSの時代ですから、実際に「効果がなかった」という声が共有されれば、その拡散スピードは従来よりも速く、事業者にとって致命的なダメージになりかねません。


本章では、誇大広告の問題について解説してきました。共通して言えるのは、誇大広告で売ろうとしている商品は、自分の商品に自信が無いということだと思います。自信が無いから、実態よりも自分を大きく見せようとする。そんな商品はおすすめできませんし、自分自身もそうは見られたくないですよね。継続性のあるビジネスを構築するためには、誇大広告のようなテクニックを使うのではなく、正々堂々と勝負することに立ち戻る必要があるように思います。

実際、米国ではこうした誇大広告は消費者に見透かされつつあり、日本でも同じ流れが起きつつあります。次の章では、こういったトレンドについて解説していきます。

調査と海外トレンドが示す「誇大広告の終焉」

誇大広告的な手法は、もともとアメリカから入ってきたものです。背景にあるのが「ダイレクトレスポンスマーケティング」という考え方。これはテレビCMのようにブランドをじわじわ浸透させるのではなく、「今すぐ申し込むと特典がつきます!」といった形で、その場で顧客の反応(レスポンス)を引き出すことに重点を置いた手法です。

この分野の第一人者として知られるのが、マーケターのダン・ケネディ(Dan Kennedy)です。彼が広めた「今すぐ行動しなければ損をする」という訴求スタイルは、日本でも多くのマーケターや起業家に影響を与えました。

当時は「限定◯人!」「あと◯時間で終了!」といったコピーが斬新で、多くの人の購買行動を後押ししたのも事実です。アメリカでも、こうした手法はいまだに使われていますが、規制強化や消費者の目の厳しさから「時代遅れ」とみなす声が増えてきているのです。

米国では「煽り広告=通用しない」時代に

実際に、米国の消費者は誇大広告に対してどのように感じているのでしょうか。各種の調査データを見ると、煽り文句に心を動かされる時代はもう終わりつつあることがはっきり見えてきます。

ここでいう「広告」とは、いわゆるテレビCMやSNS広告に限りません。LP(ランディングページ)、Webサイト、メルマガといった、商品やサービスを宣伝するあらゆるメッセージを含みます。

米国で行われた調査によると、広告業界を「高く信頼している」と答えた人はわずか 8%。逆に「信頼していない」と答えた人のほうが圧倒的に多く、広告そのものに対する不信感が強まっていることが分かります。(※1 出典参照)

さらに別の調査では、89% の人が「欺瞞的な広告には罰金を科すべきだ」と回答。また、40% の人が「だまされたと感じた企業との取引をやめた経験がある」 と答えています。加えて 73% の人は「偽情報に関与したブランドには好意を持たない」 としており、少しでも「誤認を誘う匂い」があるだけで信頼を失ってしまう状況なのです。(※2,3 出典参照)
また、心理学の研究でも、一度だまされたと感じた消費者にとっては、その後の広告やマーケティング全般への不信につながるとされています。(※4 出典参照)

こうした動きに加え、米国では州ごとの規制も年々強化されており、2024年には「詐欺的・誤認的マーケティング」に対して、累計で28億ドルもの罰金が科されたという報告もあります。(※5 出典参照)

このような背景から、米国では「誇大広告は終わった」とまでは言えないものの、消費者の不信感や規制強化、業界の動きを見ると、誠実さを重視する方向にシフトしているのは間違いないと言えるでしょう。
そしてこの流れは、時間差をもって日本にも波及してくると考えるのが自然です。

※1 Marketing Charts『How Much Do People Trust Advertising?
※2 Business Wire『New Survey Highlights Consumer Demand for Honest Marketing and Stricter Penalties for Deceptive Practices
※3 GetApp『U.S. Consumers Don’t Trust Your Marketing: Mend the Relationship and Avoid Regulators’ Fines with Smarter Data Practices
※4 Integral Ad Science『Advertising in the Age of Misinformation: How consumer perception of misleading content impacts brand favorability
※5 PerformLine『The Rise of Misleading Marketing

Z世代の動向から見える未来

米国の動向を見れば、誇大広告や煽りマーケティングが「通用しにくくなっている」ことは明らかでした。では、日本ではどうでしょうか。結論から言えば、まだ多くの場面で煽り的なコピーは使われていますが、特に若い世代を中心に、その「効き目」は確実に弱まりつつあります。

その代表例が Z世代 です。彼らは「生まれたときからネットやSNSが身近にあった世代」であり、広告や宣伝に対する感度が非常にシビアです。中高年層と比べると、どの情報が信頼に値するかを見極める目がはるかに肥えており、いわば「情報リテラシー」が生活の中で自然に鍛えられてきた世代だと言えます。

そのため、誇大広告のような小手先の煽りやテクニックは、Z世代にはあまり通用しません。むしろ「おじさん・おばさん世代はまだこんな謳い文句に引っかかるのか」と冷ややかに見られてしまうことすらあります。つまり、世代の違いがマーケティングの成否に影響を与えつつある、と認識する必要があります。

例えば、Z世代の 43% が「広告っぽい投稿を見たとき、購買意欲が完全になくなる」 と回答しています。テレビCMやSNS広告だけでなく、LP(ランディングページ)やWebサイト、メルマガといった宣伝的な要素全般に敏感に反応し、少しでも「押しつけがましい」「嘘っぽい」と感じれば一気に興味を失ってしまうのです。(※1 出典参照)

さらに、動画広告やSNS広告に対して 8割近くが「不快に感じる」 と回答しており、従来型の「煽り」や「割り込み型」の広告は逆効果になりやすい状況です。(※2 出典参照)

※1 MarkeZine『Z世代の43.4%が“広告っぽさ”が強い広告は「購買意欲が下がる」と回答
※2 Web担当者Forum『Z世代が「嫌いな広告」1位は? 約9割が“あの形式”に不快感

こうした背景から、Z世代が持つ特徴を見てみましょう。

  • 情報の取捨選択に慣れている:SNSの大量の情報の中で育ち、ノイズを見抜くスキルが高い。
  • リアルな声を重視する:広告よりも、友人や一般ユーザーのレビューを信頼する。
  • 透明性を好む:「本音なのか」「演出なのか」を敏感に見極めようとする。
  • 不安をあおる手法を嫌う:過剰な煽りや誇張に対して強い反発を示す。

このように、Z世代は、広告そのものというより欺瞞的・誇大な広告を嫌っている のです。逆に言えば、誇張のないリアルな体験談や、きちんと裏付けのある説明には安心感を持ち、信頼できると感じます。

まだ日本全体としては煽りマーケティングが残っているものの、今後Z世代が購買の中心層になっていくことを考えると、アメリカで起きているのと同じ変化は確実に訪れるでしょう。つまり、「誇大広告で一時的に売る時代」から「信頼を積み重ねて継続的に売る時代」への転換が、日本でも進んでいくと考えられるのです。

今後主流になる集客戦略とは ― エシカルマーケティングの重要性

ここまで見てきたように、米国ではすでに誇大広告に対する消費者の不信感が顕著になり、規制も強化されています。そして日本でも、特にZ世代を中心に「煽り」や「誤認を誘う」広告は受け入れられにくくなっています。つまり、これまで通用してきた「一時的に心を揺さぶる売り方」は、持続的な成果を生まないどころか、信頼を損ねる要因になりつつあると言えるでしょう。

では、これからの時代に必要な集客戦略は何でしょうか。
私が重要だと考えるのは、エシカルマーケティング(≒信頼ベースのマーケティング)です。
エシカルマーケティングとは、「倫理的で誠実な姿勢を軸に、顧客と持続的な信頼関係を築いていくマーケティング」のことを指します。

近年、エシカルマーケティングは企業において注目されつつありますが、個人事業においても「顧客と持続的な信頼関係を築いていくこと」が、まさに継続性のあるビジネスを構築するために必要なことであると言えるでしょう。小規模だからこそ、一度の不信感が致命的になりかねません。逆に言えば、誠実な関係づくりがそのまま最大の競争優位になるのです。

エシカルマーケティングを個人事業にあてはめると、特に次の4つが重要になると考えられます。

  • 価値観の明示:どんな考え方やスタンスで活動しているかを示す
  • 透明性:サービス内容やメリット・デメリットなどの情報を誇張せずに正しく伝える
  • 根拠性:客観データやユーザーの体験談などによって主張の裏付けを示す
  • 長期的関係性:顧客満足やよい体験の継続的な積み重ねにより、リピートや紹介につながる関係を築く

特に、SNSが普及した現代では、顧客の体験や評判はすぐに広がります。悪評は一気に拡散されますが、逆に積み重ねた信頼は大きな資産にもなります。

米国や日本のZ世代の傾向が示すように、「信頼を築くこと」こそが持続的な成果を生む集客戦略であると言えるでしょう。個人事業においては特に、あなた自身が「ブランドそのもの」です。誇大広告的な手法に頼らず、誠実に価値を積み重ねていくことが、結果的に「選ばれ続ける」ための堅実なマーケティングとなるのです。

まとめ

誇大広告のような手法は、短期的には効果があっても中長期的には信頼を失いかねない手法であり、リスクの高いアプローチと言えます。これは本記事で紹介した事例が示すとおりです。

だからこそ、個人事業においては「売るためのテクニック」よりも、「どう信頼を積み重ねていくか」に視点を置くことが重要となります。価値観を示し、商品やサービスの内容を正しく伝え、誠意をもって顧客との関係を構築していく。それこそがリピートや紹介につながり、持続的なビジネスを支えるための基盤になるのです。

「個人事業の処方箋」として言えるのは、誇大広告に頼るのではなく、信頼を軸とした集客戦略である「エシカルマーケティング」を行っていくことが、長く選ばれ続けるためのカギになるということです。

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この記事を書いた人

国内大手IT企業に16年間勤務し、研究開発やシステム開発に従事。
2017年にマレーシアに移住し、現地の日系IT企業へ転職。
現在は最高戦略責任者(CSO)として、ビジネス戦略や技術戦略の策定、
プロジェクトマネジメント、システム導入・運用までを幅広く担当。

また、ビジネスを安定して運営するための「仕組み設計」を専門とする「LincWeb」を立ち上げ、個人事業主のビジネス設計や、ツールを活用した業務自動化を支援している。

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