売れないLPの原因と失敗を防ぐ3つの設計|LP制作の処方箋

【個人事業の処方箋】シリーズ
個人事業のよくある問題について、背後にある原因と解決策をわかりやすく解説するシリーズです。
持続的に個人事業を成長させるためのヒントをご提供します。
こんにちは!LincWebの水野です。
LP(ランディングページ)の作り方については、世の中にたくさんのノウハウ記事や講座がありますよね。でも、デザインの工夫やキャッチコピーの書き方を学んで実践したのに、「思ったほど成果が出ない」「売上につながらない」と感じている方はいませんか?
実は、こうした悩みを抱える人は少なくありません。見栄えやワーディングを整えるだけでは、なかなかうまく機能しないのです。なぜなら、LPを作るうえで本当に重要なのは、LPを作る前の設計だからです。商品の強みやターゲットの整理、導線の設計が曖昧なまま進めてしまうと、どんなに見栄えのよいLPを作っても成果が出ないのです。
そこで本記事では、LP制作で多くの人が陥りやすい3つの失敗原因を整理しながら、どうすれば「売れるLP」にすることができるのか、そのポイントを解説していきます。
「個人事業の処方箋」記事一覧
第1回 誇大広告や煽りマーケティングは時代遅れ?個人事業のための集客戦略
▶ 第2回 売れないLPの原因と失敗を防ぐ3つの設計|LP制作の処方箋
第3回 失敗しないコンサルの選び方|戦略と戦術の違いから理解する
第4回 初めての自動化ツール導入でやりがちな失敗8選|原因と対策
第5回 高額商品が売れない理由と、成功するための条件
第6回 個人事業主のためのブランディング|失敗パターンと正しい進め方
第7回 起業塾で成果が出ない本当の理由|学ぶべきは『何を売るか』
第8回 講師育成ビジネスの落とし穴と成功に導く4つのモデル
(今後追加予定)
LP制作で失敗する3つの原因とその対応策
ここからは、LP制作で多くの人がつまずく「3つの設計不足」の問題とその対策について解説していきます。
- ビジネス設計の問題(強み・ターゲット・責任範囲)
- 導線設計の問題(LPにどう誘導するか)
- メッセージ設計の問題(価値をどう伝えるか)
原因① ビジネス設計の問題
LP制作が失敗する最大の原因は、ビジネス設計が曖昧なまま進めてしまうことです。
ビジネス設計とは、「どんな価値を」「誰に」「どのような形で」提供するのかを決めることです。ここが定まらないと伝えたい内容がぼやけてしまい、構成やデザインを工夫しても「売れるLP」にならないのです。
3つの原因の中でも、最も重要で落とし穴になりやすいのがこの「ビジネス設計」です。ここが曖昧だと他の工夫もすべて空回りしてしまうため、少し詳しく解説していきます。
①-1. 何が強みなのかがわからない
最も多い失敗は、商品やサービスの強みが曖昧なままLPを作ることです。次の質問にすぐ回答できますか?
- 商品やサービスの「売り」は何か?
- 競合と差別化できるポイントは何か?
- それを「あなた」が提供できる根拠は何か?
売上を上げるには、「他ではなく、これを選ぼう」と思ってもらう必要があります。LPで強みや差別化のポイントを明確に伝えなければ、どれだけ見栄えのよいページを作っても選んでもらえないのです。
そして、「この商品にしよう」と思ってもらうためには、商品の売りは何か、そして他の商品との違いは何かを、LPでわかりやすく伝える必要があります。
さらに重要なのは「なぜあなたが提供できるのか」を示すことです。あなた自身の過去の経験やキャリアを土台に、お客様の声、販売実績、資格などを補強材料として提示すると、信頼感を高めることができます。
【整体院の例】
「丁寧に施術します」とだけ書いてある院よりも、「医学博士監修の施術法で、即効性の高い施術を提供(3回で85%の方が改善)」という院の方が、「確かに効果がありそうだ」と感じ、多少高くても選びたくなるのではないでしょうか。それは、背景に「博士としての経験と研究成果などの実績」があるからです。
【コーチングの例】
「あなたならではのキャリアを探します」と謳っているサービスよりも、「外資系企業で10年以上マネジメント経験を積み、300人以上の人材育成を行ってきたコーチが、あなたの特性や強みに基づいてキャリア構築を支援します」というサービスの方が、「実際の経験を踏まえたよいアドバイスがもらえそうだ」と感じますよね。
外資系企業でのキャリアという背景に、さらに補強する形で実績を示しているからです。
強みや差別化ポイントがわからないLPでは、選んでもらえません。逆にこれらを明確に表現できれば、選ばれる確率は格段に上がります。これはLPの構成やデザインではなくビジネス設計の問題であり、LP制作に入る前に必ず明確にしておくことをおすすめします。
①-2. ターゲットが広すぎる
次に多い失敗は、ターゲットが曖昧なままLPを作ってしまうことです。
あなたの商品やサービスは、どんな課題を抱えた誰のためのものでしょうか?
つい「幅広い人に使ってほしい」と考えてしまいますが、誰にでもあてはまるメッセージは、実は誰の心にも響かないのです。LPは、「これはまさ自分向けの商品だ!」と思ってもらって初めて、購買行動につながるのです。
【オンライン英会話の例】
「初心者から上級者まで幅広く対応!」よりも「海外駐在を目指すビジネスパーソン専用プログラム」と書かれていたほうが、「まさに海外で働きたいと思っていた自分向けの講座だ!」と感じて、興味を持って読み進めてもらえます。
【ダイエットプログラムの例】
「どんな人でも痩せられます!」よりも「産後ママ向けに、体力回復と無理のない食事改善を組み合わせたプログラム」のほうが、「自分にあった指導が受けられそうだ」と感じて、行動に移しやすくなります。
ターゲットが曖昧だと、せっかく作ったLPも「よくあるサービスの1つ」として埋もれてしまいます。逆に絞り込んで、その人の課題や状況に合ったメッセージを伝えることで、選ばれやすくなるのです。
ここで大切なのは、ターゲットを狭めることはお客さんを減らすことではないという点です。むしろ「自分に必要だ」と感じてもらえる人を増やし、結果的に購買行動を促す最も効果的な方法になるのです。
①-3. 責任範囲があいまい
もう一つの落とし穴は、サービスの責任範囲のあいまいさです。
お客さんは「何をどこまで責任を持ってやってくれるのか」を気にします。ここが曖昧だと、せっかく興味を持ってもらっても購入してもらえません。例えば「広告運用を代行します」「動画編集を行います」とだけ書かれていると、どこまで対応してくれるかは人によって解釈がバラバラになってしまいます。
この線引きが見えないと、依頼する側には2つの反応が起きます。
- 期待している商品やサービスであるかがわからず購入を見送る
- 「ここまでやってくれるだろう」と都合よく解釈して購入するが、期待と違い不満やクレームにつながる
つまり、責任範囲が曖昧な商品やサービスは、売上につながらないだけでなく、顧客満足度の低下、悪評やリピート率の低下、さらには価格競争に巻き込まれるといった弊害があるのです。
【広告運用代行の例】
「Google広告・SNS広告の運用を代行します」だけだと、初期設定、日々の運用改善、レポートや改善提案などを行ってくれるのかがわかりません。
【動画編集サービスの例】
「YouTube動画を編集します(1本3万円〜)」だけだと、カットやテロップだけなのか、サムネイル作成やSEO対策まで行ってくれるのかがわかりません。
この曖昧さが不安を生み、「本当に大丈夫かな?」と思わせてしまうのです。
このように、責任範囲を明確に示すことは、「売れるLP」には不可欠と言えるでしょう。どこまで対応するかをはっきり示せば、「このサービスなら安心」と感じてもらえ、自然と選ばれる確率が上がるのです。
結局のところ、LP制作でまず押さえるべきは、この「ビジネス設計」です。ここが定まらないと、導線設計もメッセージ設計も、構成やデザインの工夫も、生きてこないのです。
原因② 導線設計の問題
LPが売上につながらない次の理由が「導線設計」です。
導線設計とは、「どこからどうやってLPに人を誘導するか」を決めることです。どれだけ魅力的なLPでも、見てもらえなければ意味がありません。
②-1. 導線がそもそも無い
ビジネス初心者に多いのがこのパターンです。
「とりあえずLPを作ったけれど、SEO対策も広告もSNS発信もしていない。」
これではLPは誰にも見てもらえず、当然売上にもつながりません。
これは、立派なお店を建てても道路がつながっていないのと同じです。誰も来なければ、どんなによい商品でも売れないのです。
【よくある失敗例】
・LPを名刺代わりに作ってみたが、アクセスがゼロに近い
・知人にURLを送る程度しかしていない
・検索エンジンにインデックス登録を行っていない
・SNSやブログに脈絡なくLPのリンクを貼っているだけでクリックされない
LP制作はゴールではありません。「どうやって人に見てもらうか」を設計して初めて意味を持つのです。
②-2. 導線と商品の特性が合っていない
導線自体はあるものの、導線が商品の特性と噛み合っていないケースも問題となります。
【よくある失敗例】
・「人柄」「共感」が決め手になるコーチングやスピリチュアルなどのサービスで、広告ばかりに頼ってしまう
・「機能」「成果」が決め手になる制作代行やツール導入支援などのサービスで、SNS発信ばかりしている
・高額コンサルを1枚のLPだけで売ろうとし、検討に必要な情報を提供できず、購入につながらない
・シニア向け商品をInstagram広告で集客しようとする
商品やサービスによって最適な集客導線は変わってきます。商品と導線の相性が悪いと、せっかくのLPも機能しなくなるのです。
では、どのように導線を組めばよいのでしょうか?
集客導線については、別の記事で体系的に解説しています。導線がまだ設計できていない方、導線を見直したいという方は、あわせてこちらもご覧ください!

LP制作で成果を出すためには、まずは「どこから人を呼び込むのか」を明確にし、商品特性に合った導線を選ぶことが重要です。SNS集客や広告など1つの導線に偏っている方は、一度全体の導線を見直してみるとよいでしょう。
原因③ メッセージ設計の問題
3つ目の原因が、「メッセージ設計」です。
メッセージ設計とは、①で決めた強み、ターゲット、責任範囲を、LPでどう表現するかを考えることです。これらをLPで明確に示せないと、商品の魅力が十分に伝わらず、選んでもらえないのです。
なお、世の中の「売れるLP」ノウハウは構成やデザインに注目しがちですが、多くはこの「メッセージ設計」の一側面を表現していると言えるかもしれません。
ここでは、多くの人がつまずきやすい3つのポイントを解説していきます。
③-1. 冒頭でターゲットに向けたメッセージを伝える
LP冒頭部分は、訪問者に「これは自分のための商品だ」と思ってもらうための最重要ポイントです。
ところが、「初心者から上級者まで対応」「誰にでもおすすめ」といった汎用的なメッセージを置いているLPも少なくありません。これでは、「自分向けの商品かどうか」が分からず、読み進めてもらえないのです。
冒頭に置くべきは、①で決めたターゲットに刺さる言葉です。
前章の例で出した、「海外駐在を目指すビジネスパーソン専用プログラム」「産後ママ向けに、体力回復と無理のない食事改善を組み合わせたプログラム」はまさにその具体例です。
「これは自分のことだ」と思ってもらえれば、その先を読んでもらえる確率が格段に高まるのです。
③-2. 強みを冒頭直後で伝える
次に重要なのが、商品の「強み」や「売り」を冒頭直後で伝えることです。
LPの役割は「数ある商品の中から選んでもらうこと」。その理由は、あなたの商品の「強み」にあるはずです。
にもかかわらず、LPで強みがうまく表現されておらず、訪問者は何が魅力なのかわからないまま離脱してしまうケースも多いのです。だからこそ、強みはファーストビューや冒頭部分のすぐ後に配置する必要があります。
前章の例で出した、「医学博士監修の施術法で即効性の高い施術を提供」「外資系企業で10年以上マネジメント経験を積んだコーチが、あなたの特性や強みに基づいてキャリア構築を支援」はその具体例になります。
耳障りのいいキャッチコピーではなく、「他の商品には無い具体的な強み」を示すことがポイントです。
③-3. 本文中盤で責任範囲を具体的に示す
最後に見落とされがちなのが、責任範囲の説明です。
「どこまで対応してくれるのか」が曖昧だと、せっかく関心を持っても購入につながりません。特に広告運用代行や制作代行、コンサルなどでは、大きな不安やクレームの原因にもなります。
責任範囲は冒頭ではなく、サービス説明や料金案内の直前/直後など、LPの中盤に配置するのが効果的です。
冒頭でサービスの良さに納得した訪問者は、次に「具体的にどこまでやってくれるのか?」を知りたくなるからです。
例えば「広告運用を代行します」だけではなく、「初期設定から日々の改善、月次レポートまで対応」と書けば、依頼者はサービス内容を具体的にイメージでき、不安なく申し込めるでしょう。
このように、メッセージ設計では「誰のためのサービスか」「強みはなにか」「どこまでやってくれるのか」を的確に伝えましょう。どれか1つでも欠けると、どれだけ構成やデザインを工夫しても「売れないLP」になってしまうのです。
特に「責任範囲」はサービス提供型ビジネスで見落とされがちな落とし穴です。まずはこの3点をLPに落とし込み、売上につながるメッセージ設計の土台を整えましょう。
LP制作で外注に向いている部分と、自分で考えたい部分
ここまで、「売れないLP」になってしまう3つの原因について解説してきましたが、「設計を自分でやるのは難しそう…」と感じた方も多いのではないでしょうか。
そこで、LP制作の「どこを外注できて、どこは外注しない方がよいのか」を整理してみます。すべてを自分でやるのも、すべてを外注するのもおすすめではありません。必要に応じてうまく外注を活用することが、「売れるLP」への近道と言えるでしょう。
プロセス | 外注の方針 | 理由 |
---|---|---|
ビジネス設計 | 外注できない | ビジネスの強み、ターゲット、責任範囲は、自分にしか決められません。これを外注したら、それはもはやあなたのビジネスではありません。 |
導線設計 | 外注は難しい | SNSや広告など個別施策の委託は可能ですが、あなたのビジネスに合った導線は何か、といった全体設計は、自分が主導権を持って判断するのがよいでしょう。 |
メッセージ設計 | 外注できる | ビジネス設計の内容を提供できれば、外注することが可能です。専門家が人を引きつけるメッセージをうまく設計してくれるはずです。 |
デザイン | 外注した方がよい | 視覚的に洗練された、内容を読んでもらえるページを作るには専門性が必要です。設計さえ固まっていれば、外注により大きな効果を出せる領域です。 |
1つの目安として、ビジネス設計と導線設計は自分が主体となって行い、その設計内容に基づいてメッセージ設計とデザインは外注するというやり方もよいでしょう。
中には、コスト削減のためにLPをすべて自作する人もいますが、メッセージ設計やデザインは専門スキルが必要な領域です。時間をかけて手作りするより、プロに依頼した方が結果的に売上につながることが多いでしょう。
逆に、根幹となるビジネス設計までコンサルに全面的に頼ろうとする人もいますが、ここを自分で考えられないと、継続的に回るビジネスは作れません。コンサルはあくまでサポート役として活用し、あくまで自分が主体となって組み立てていく意識が必要です。
結局は、自分で考える部分と外注する部分のバランスを見極めることが、効率的かつ効果的に「売れるLP」を作るカギとなると言えるでしょう。
LP制作前に確認したいチェックリスト
最後に、LP制作の前に押さえておきたいポイントをチェックリストにまとめます。LPを制作する方は、是非確認してみてください。
プロセス | チェックポイント |
---|---|
ビジネス設計 | 商品の強みや売りが明確になっているか? |
ターゲットは具体的に絞れているか? | |
サービスの責任範囲が明確になっているか? | |
導線設計 | LPにどうやって人を誘導するか、具体的な導線を設計しているか? |
導線は商品やサービスの特性に合っているか? | |
メッセージ設計 | LP冒頭でターゲットに向けたメッセージを伝えているか? |
強みや売りをLP冒頭直後で伝えているか? | |
LP中盤でサービスの責任範囲を具体的に示しているか? |
このチェックリストで、自分のLPに「売れない原因」が潜んでいないかを確認することができます。不十分な部分が見つかったら、まずは設計を見直してから、制作や外注に進むのがおすすめです。
まとめ
本記事では、LP制作で失敗しやすい原因として「ビジネス設計」「導線設計」「メッセージ設計」の3つを解説しました。どれも「デザインに入る前」に固めておく必要がある重要な要素です。
- ビジネス設計が曖昧だと、商品は選ばれない
- 導線に問題があると、どれだけよいLPであっても誰にも見られない
- メッセージが適切でないと、購入にいたらない
多くの人は「デザインやコピーを工夫すれば売れる」と考えがちですが、設計が曖昧なままではそれらの効果は半減します。逆にこの3つを固めておけば、これまで学んだテクニックやデザインの工夫も、本来の力を発揮してくれます。
すでにLP制作を学んで実践しているのに成果が出ない方も、これから初めて作る方も、まずは本記事のチェックリストで設計を確認してみてください。設計を整えたうえで、メインビジュアルやお客様の声などのテクニックを組み合わせれば、「売れるLP」への道が開けるはずです。

「個人事業の処方箋」記事一覧
第1回 誇大広告や煽りマーケティングは時代遅れ?個人事業のための集客戦略
▶ 第2回 売れないLPの原因と失敗を防ぐ3つの設計|LP制作の処方箋
第3回 失敗しないコンサルの選び方|戦略と戦術の違いから理解する
第4回 初めての自動化ツール導入でやりがちな失敗8選|原因と対策
第5回 高額商品が売れない理由と、成功するための条件
第6回 個人事業主のためのブランディング|失敗パターンと正しい進め方
第7回 起業塾で成果が出ない本当の理由|学ぶべきは『何を売るか』
第8回 講師育成ビジネスの落とし穴と成功に導く4つのモデル
(今後追加予定)